
ロートレックを食べるのではない。画家は料理人でもあった。彼自身による料理レシピ本。目次にはスープ、薬味香草、魚貝、家畜肉から、きわめつけ、までが並ぶ。私は、このレシピに従って料理をつくったことはないが、レシピの合間に挟ま・・・・[続きを読む]
西藤博之公式サイト

ロートレックを食べるのではない。画家は料理人でもあった。彼自身による料理レシピ本。目次にはスープ、薬味香草、魚貝、家畜肉から、きわめつけ、までが並ぶ。私は、このレシピに従って料理をつくったことはないが、レシピの合間に挟ま・・・・[続きを読む]

矢内原伊作。著者がモデルをしていたとき、この芸術家との対話を記銘した本。ジャコメッティは一日の休みもなしに、仕事を続けた。矢内原の前でタブローと格闘しながら独白する。「われわれの仕事、これは人間的でない。私は蟻と同じだ。・・・・[続きを読む]

サマセット・モーム(中野好夫=訳)。ゴーギャンの伝記をベースとした芸術家小説。平凡な中年男が妻子のある家を捨てて一人の芸術家となる通俗小説、と批評されたモームは、シェイクスピアも通俗劇作家だ、と言ったそうです。純文学だか・・・・[続きを読む]

隠れん坊の鬼が当たって、何十か数える間の眼かくしを終えた後、さて仲間どもを探そうと瞼をあけて振り返った時、僅か数十秒前とは打って変って目の前に突然開けている漠たる空白の経験を恐らく誰もが忘れてはいまい。隠れん坊の主題は何・・・・[続きを読む]

オールダス・ハクスレー(片桐ユズル=訳)。195ページ、「悲しみを見せよう―しかし仏陀がいったのはそれだけではない。彼は悲しみの終りを教えてくれた」。これはインド洋上の小島に漂着した英国人を主人公にした小説の一節です。主・・・・[続きを読む]

酋長ツイアビの演説集(著=エーリッヒ・ショイルマン、訳=岡崎照男)。サモア諸島の酋長は、はじめてパパラギ(白人)の文明社会に触れた驚きを、島の人々に語って聞かせた。100年前にサモア人の目でヨーロッパ文明を批判した。13・・・・[続きを読む]

種村季弘。博覧強記の著者による書評集。書評というより、一冊の本を中心に置いた日常風景や過去の心象を描いた随筆集。例えば「我が闘争」と題された一章は、ヒトラーの絶叫する演説ではなく、吉田健一の忍び笑いを描く。吉田健一の小説・・・・[続きを読む]

吉本隆明。著者自身のあとがきによると、「簡単にいえば一冊の書物を読むごとに書評を書いた。そして積みかさねているうちに、一冊の本になるほどの量になった。それだけのことになる」。20年前に出版されたこの本を買った私は、目次に・・・・[続きを読む]

今宵はハードボイルド明月 会長を偲ぶ夜 われら万障くりあわせ 深プラで独り酒をのむ 井伏鱒二の詩『逸題』の替え歌です。深プラは今でもあるが会長はもういなくて、かつて会長に店を追い出されて見上げた夜空には、ゆで卵のような月・・・・[続きを読む]

近藤喜博。私は去年の夏にこの文庫本を買いました。それ以来この本を読み重ねて鬼の版画や彫刻を制作しつづけています。仏像を底本に作品制作する場合、仏の姿勢や手の印形は様々な意味を帯びているため、制作に知性が求められます。鬼の・・・・[続きを読む]