鬼神蛮道図

Posted 2011-10-28

この国には、昔、鬼がいました。現代にも、節分に豆で追われる鬼、祭礼に太鼓を叩く鬼、厄除けの鬼瓦など、鬼は細々と生息しています。この鬼達が、国の中央で跋扈した時代がありました。奈良京都の寺院には、仏教によって表現された鬼が多く残存しています。四天王の足の下で、寺院の大屋根の四隅の下で、鬼はうずくまっています。十二世紀、後白河院の指図により蓮華王院三十三間堂が創建されました。堂には千一体の千手観音像と共に、餓鬼草紙や地獄草紙など、六道図が奉納されました。三十三間堂は、千手観音の極楽浄土と阿鼻叫喚の六道地獄を、表裏とみなす世界観を持つのです。私は本堂の二十八部衆を取材した「天竜楽部衆」のB面として、今度「鬼神蛮道図」を制作します。古の鬼達が現代に黄泉かえり、南蛮のミュージシャンと叫喚する『蛮道(BAND)』図です。