イワン・デニーソヴィチの一日

Posted 2011-12-16

ソルジェニーツィン(木村浩=訳)。無人島へ持っていく一冊の本、という言い回しを借りるなら、私は無人島へ二冊の本を持っていきます。一冊は『老人と海』。もう一冊がこの本です。無人島というと常夏の島のイメージが浮かびますが、極寒の孤島も無人島でしょう。夏はカリブ海の小舟から勇気をもらい、冬は強制収容所の一日の暮らしから朗らかな忍耐を学びます。困難な状況に直面しても、人間は「絶望する」とは言えません。虫も魚も生命のある限り絶望しません。無人島でもシベリアでも、面壁十年、一日一生。