昆虫記

Posted 2015-12-01

ファーブル(山田吉彦・林達夫=訳)。何年か前の個展会場で、来場者から「あなたの最終目標は?」と尋ねられたことがあります。いつも目の前の作品制作に集中しているので、最終目標など考えていませんでしたが、「最終目標はないけど、ぼくの場合は、何かを制作中に作品が中断するのだと思う」と答えました。昆虫記全十冊の序文でファーブルは書きます。

『私の生涯の唯一のなぐさめであったこの研究を止むなく中止しなければならないことは実に残念である。昆虫の世界は実にあらゆる種類の思索の糧に富んでいる。もしも私が生まれかわり、また幾度か長い生涯を再び生き得るものとしても、私はその興味を汲みつくすことはないであろう。』
ファーブル