天竜楽部衆展のお知らせ

Posted 2010-10-18

2010年11月20日-23日
富山市民プラザ2Fアトリウムで天竜楽部衆展を開催します
入場無料

本作品の主題となりました二十八部衆(国宝)は、三十三間堂(京都、東山)に安置されています。二十八部衆は初期鎌倉時代の作で、古代インドに起源をもつ二十八体の神々が千手観音に従って仏法とその信者を守るとされています。仏は、社会情勢の不安や政治の乱れによる厭世的な雰囲気を一蹴し、極楽浄土(死後の幸せ)を祈願する目的のために作られました。

私は、この二十八部衆を模写して、新しい楽団を結成することを思いつきました。

これらの仏は、もともと中国・インドからの渡来品であり、その装飾や衣類には大陸の影響を濃く受けています。現代に置き換えますと、明治以降の日本文化に影響を及ぼしたギター、トランペット、ドラム、バイオリンなどの楽器がそれにあたります。

三十三間堂にこだまする仏典を音読する読経は、節回しがついた音楽で、音楽は相手の音を聴きその音に合わせ強い一体感を持ちます。それを現代の楽器で、仏にやっていただくということが私の作品のコンセプトです。多くの民族が対等な立場でユニオンの形態をとる現代の思想では、言葉の壁が大きく立ちはだかります。しかし、言葉は文化の骨子でありそれを軽視することはできません。一方、ロックやジャズ、クラッシックなどの音楽は言葉の壁を越え、地球の隅々まで行き渡り人々の交流には欠かせません。

浄土(死後の世界)へ思いから作られた仏ですが、私たちは現在を生き、未来を作る中に生きています。また、現代人は様々な宗教との共存が求められています。平均寿命が長くなった私たちは、死後を見つめ恐れる時間より、現世を楽しみ未来を作り出していく時間が与えられました。

私たちは現在、様々なスタイルで音楽を愛し、聞き、演奏を楽しんでいます。それは言語を超えた人間の理解の方法です。現代の仏の持ち物は、楽器であり、その言葉は仏法ではなく「サウンド:音」です。
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